「リキスツール」が2021年度グッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞しました

堅牢な構造の段ボールでできたスツール

1965年に渡辺 力氏によってデザインされたリキスツールは、椅子としての十分な耐荷重を持ちながらも、子供が積み木のようにして遊ぶことができるほど軽量なスツールです。

段ボールというリサイクル可能な素材を完璧な組立構造によって堅牢さを強化。発売当時には「4つのスツールで象の体重を支えられる」と話題になりました。

この度、当該製品が、現代においてもなお愛され続けるスツールとして「2021年度 グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」を受賞いたしました。

審査委員の評価
リキスツールは、東京オリンピックの翌年、1965年に婦人画報社の展覧会の企画の一つとしてデザインされた。1964年に東海道新幹線が開業し、1965年には国内初の家庭用電子レンジが登場し、1970年代にかけて家電メーカー各社から次々とカラーテレビが発売されていった日本の高度成長期の真っ只中である。その時代の流れに逆行しているかのような段ボール製のリキスツールが、当時デザインされたことに驚かされる。渡辺力は、人や環境に優しいデザインが重視される遥か前に、未来を予測していたのではないか?リキスツールの耐荷重は、ロースツールで740kg、ハイスツールで650kgもある。一般的なオフィスチェアの耐荷重が100~200kgだから、オーバースペックとも思える強度だ。おそらく、紙は弱いという固定概念を覆そうとしたに違いない。紙は絵を描ける一方で、汚れやすい。一見ネガティブなこの特徴も、使用者の人生記録の媒体となると考えていたのではなかろうか?紙に残された記録は、アップデートの必要がない。いまなおリキスツールが愛されている理由が、そこにあるように思う。

ロングライフデザイン賞とは
これから生まれるデザインの手本となりうる、時代を超えてスタンダードであり続ける商品・建築・コンテンツ・サービスなどを表彰します。単に「長く残っている」ことを讃えるのではなく、暮らしの中で人々に愛され、これからも変わらずに存在し続けてほしいデザインと、そのデザインを生み出した人々を顕彰することを目的としています。

私の選んだ一品「社会のピント」2021年度グッドデザイン賞審査委員セレクション開催
審査委員一人ひとりが個人的に気になったデザインやお気に入りのデザインを1つピックアップする毎年恒例の企画にて、リキスツールを選出いただきました。「楽しむ」「守る」「食べる」「支える」「知る」「移動する」という6項目にピントを合わせて分類され、審査委員によるコメントと共に展示されます。是非、足を運んでいただけますと幸いです。

GOOD DESIGN Marunouchi
東京都千代田区丸の内3−4−1 新国際ビル1F
開場時間 : 11:00-20:00 /定休日なし
会期 : 2021年10月20日(水)~11月24日(水)/入場無料

ホワイト・ナチュラル・マルチ

リキスツール

サイズロー : W330×D330×H330mm
重量:0.8kg
ハイ : W330×D330×H420mm
重量:1kg
耐荷重ロー:740kg ハイ:650kg
材 質段ボール
価 格ロー : \4,180(税込)
ハイ : \4,400(税込)

渡辺 力 / Riki Watanabe [1911-2013]

1911年東京生まれ。1936年東京高等工芸学校(現 千葉大)木材工芸科卒業後、ブルーノ・タウトが指導をしていた群馬県工芸所を経て、1949年渡辺力デザイン事務所を設立。1952年ローコストの椅子 「ヒモイス」 で注目を集め、1957年、トリイスツールと円形センターテーブルがミラノトリエンナーレで金賞を受賞する。1972年にデザインした日比谷第一生命のポール時計が代表作として広く親しまれている。戦後日本のデザイン黎明期に革新をもたらしたパイオニア的な存在である。

メトロクス / METROCS

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